虫歯の治療、予防(カリオロジー)について学んできました
2018年02月19日(月)
こんにちは、院長の岸川です
今月は日曜日一度も診療しないで勉強ばかりしています、申し訳ありません。
今回の勉強は虫歯について学んできました。
意味ある予防、意味のない予防、最善の虫歯治療
楽しかったです。
患者さんは歯科医師であれば当たり前に勉強しているだろう、何を今更と思われているかもしれません
実は日本の歯科教育ではどこまで削るか、どのように削った後に修復するか等の明確な基準は習いません。
術者の判断に任せられるのです
そして意外にもこの分野の勉強会は少ないです
そのせいか北は北海道から南は九州まで全国から受講の先生が来ていました
虫歯の削除は歯科医師の感覚で行うことが多いと思います。
なのでその先生の考え方、知識で削り方も大きく異なってくるということです。
じゃあ虫歯の治療は削りすぎたり(オーバートリートメント)、削り足りなかったり(感染の残存)が人によって起きるじゃないかと思われるかもしれません。
その通りです、むしろ虫歯というものを歯の脱灰、融解と捉える(細菌感染はしていても硬い歯は残す)か細菌の侵入範囲(感染範囲の徹底的な除去)と捉えるかで削る量に大きく差が出てきます。
正確に”虫歯”をぴったりと削ることなんて不可能なのです
そして私も今行っている治療が最適解なのか知りたくて参加してきました。
講演者の方々でさえ意見の食い違いが見られてとても有意義な時間でした。
下は日本歯科保存学会の治療ガイドラインです
これは染色液で虫歯を染めた後にどの色まで削るかを定めたものですがDくらいとなっています。
プロピレングリコールなので少し染め残すのが正しいとされています
実はこのどのくらい染まっていれば削るのか、の統一が現在もまだ確定していません。
当院では少し分子量の大きいポリプロピレンの染色液を使用しているので基本的に染め残さないようにしています。拡大視野で治療していると染め残しが多く、色ついたまま詰めるのが気になってしまうので、、、、
他にも、私は保険治療で行う虫歯の削除と保険外で行う虫歯の削除で考え方を変えています
保険治療では硬さが判断基準で歯を削っています。歯質をできるだけ保存して細菌感染している部分はシールドレストレーションの考え方をしています。
今回の講演者の猪越先生もこちらのやり方を強く推奨されていました。
大学病院でも硬さで判断していましたし、殆どの歯科医院が硬さのみで判断していると思います。
ですが保険外は少し考え方を変えています、細菌感染部分の妥当な範囲での削除を行います。もちろん削る大きさによって歯の強度が変わるので”妥当”な範囲としているのですが。
削る量を少し増やしてでも感染を除去したいと思っています。それは以前もブログで書きましたが精度を高めた治療を行いたいと思っているからです。
また、削る量が増えれば神経のことも考えた術式を取らなければなりませんが、ラバーダム、MTA等の準備が必須になり時間も一つの歯に1時間はかかります。
接着強度も適合性も違うので基本的に再治療にならないように仕上げているつもりで処置しています。万が一でも感染した層によるトラブルが起きないようにと思っているからです。
神戸の高田先生(今回の勉強会の主催者の先生)がこの考え方でダイレクトボンディングをされています。3月に2日間かけて神戸まで再度勉強してきます。
今回の高田先生の題目は『攻めの保存治療』でした、本当に凄い。歯の保存、神経の保存にとてつもない熱意を感じました。
保険治療はできるだけ歯質を残しておくと再治療になった場合のメリットが大きいのです、接着強度が弱い為に詰め物と歯の隙間から細菌が侵入した場合にも削りすぎていない層が有利に働きます。
つまり、術後に詰めたところの細菌感染が起きる可能性を考えて処置します。
(歯科関係者の方ならそもそもレジンの収縮が細菌より大きいと思われるかもしれませんが、接着させる場所の弾性やエナメル小柱も考えて適正に詰めると今の歯科材料ならリケージには抵抗出来ると思っています。)
簡単にいうと、保険治療のレジン修復で大きく削るのはリスクが高く、保険外のダイレクトボンディングでは感染を出来るだけ少なくすることにメリットを感じたからです。(セラミックインレーは完全に削り過ぎだと思うのだが、、、ケースによるけど)
どのような治療も考えておかないといけないのは再治療です、再治療を想定されていない修復歯の治療が非常に大変です。
自分が行う治療方法によって歯の寿命が変化することを考え、メリットとデメリットを考えた上で最適な治療術式を選ぶのが大事だと思っています。